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お役立ちコラム
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「選定療養が自院にどう関係するのか整理できていない」「長期収載品の計算方法がどう変わったのかわからない」
そのような疑問を抱えるクリニックの院長先生やスタッフは少なくありません。
選定療養については、2026年6月に負担割合の引き上げが実施されたなど、制度の改正が続いており、クリニックが正確に説明や会計を行うことが求められます。
この記事では、選定療養の定義や対象一覧、長期収載品の計算方法などのポイントをわかりやすく解説します。実務対応を一通り把握できるため、自院で何を対応すべきか明らかになります。
目次
制度の基本的な考え方と対象の全体像を整理することが、クリニックでの正しい実務運用には欠かせません。まず定義と対象一覧を確認しましょう。
厚生労働省では「選定療養は保険外併用療養のうち、将来的な保険導入を前提としないもので、患者さんの選択により特別の料金を支払うことで保険外の診療と保険診療を併用するもの」と定義しています。
わかりやすく説明すると、患者さんが希望したサービスや先発医薬品などについて、保険診療に加えて自己負担で費用を支払う制度です。保険外併用療養費制度のひとつです。
選定療養として認められている対象は、厚生労働省により定められています。クリニックに関係しやすい項目を含む全対象を以下に整理します。
| 項目 | 概要 |
| 特別の療養環境(差額ベッド) | 個室や少人数室など、特別な入院環境 |
| 歯科の金合金等 | 保険適用外の材料を使用した歯科治療 |
| 金属床総義歯 | 金属床を用いた総義歯 |
| 予約診療 | 選定療養として届け出た場合に徴収できる予約料 |
| 時間外診療 | 診療時間外に希望して受診した場合 |
| 大病院の初診 | 紹介状なしで200床以上の病院を受診した場合 |
| 大病院の再診 | 紹介状なしでの大病院への再診 |
| 小児う蝕の指導管理 | 一定条件下での小児の歯科指導管理 |
| 180日以上の入院 | 長期入院の一定日数超過分 |
| 制限回数を超える医療行為 | 保険で定められた回数を超えて患者が希望する場合 |
| 水晶体再建に使用する多焦点眼内レンズ | 白内障手術での多焦点レンズ使用 |
| 保険適用期間終了後のプログラム医療機器 | 保険適用期間を過ぎたデジタル治療機器 |
| 間歇スキャン式持続血糖測定器 | 一定条件下での血糖測定器の使用 |
| 精子の凍結及び融解 | 生殖補助医療に関わる精子の保存 |
| 長期収載品 | 後発医薬品がある先発医薬品(2024年10月〜) |
クリニックで特に関係しやすい項目は「予約診療」「長期収載品」「制限回数を超える医療行為」です。
選定療養は診療科によって関係する項目が異なります。
例えば、内科や整形外科では「長期収載品」や「予約診療」、眼科では「多焦点眼内レンズ」、婦人科では「精子の凍結および融解」などが代表的です。
まずは自院の診療内容と照らし合わせ、どの選定療養が関係するのかを確認することが、適切な運用や患者さんへの説明につながります。
2024年10月に新たに選定療養に追加された「長期収載品」は、クリニックに関係する項目のひとつです。制度の内容を正確に理解しておきましょう。
長期収載品とは、後発医薬品(ジェネリック医薬品)が存在する先発医薬品のことです。
後発医薬品と比べて薬価が高い傾向にありますが、患者さんの中には「長年飲み慣れた薬を変えたくない」「先発品の方が安心」という理由で先発品を希望するケースが多くあります。
こうした患者希望による先発品医薬品の選択について、2024年10月から選定療養の対象として「特別の料金」を負担とする制度が始まりました。
医療保険の負担を公平にして、将来にわたって国民皆保険を維持するために、価格が安い後発医薬品への切り替えを進めていることが背景にあります。
クリニックの診療で対象となるのは、以下の条件を満たす場合です。
患者さんが希望していない場合や医療上の必要性がある場合は選定療養の対象外となります。
対象薬剤の確認は厚生労働省ホームページ「後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について」のページで最新リストを確認できます。
以下のいずれかに該当すると医師が判断した場合、医療上の必要性があると判断され選定療養の対象外となります。
基本的には上記の4つが選定療養の対象外となりますが、後発医薬品の在庫がない場合も「特別の料金」は発生しません。
対象外かどうかの判断は医師が行い、理由を処方箋や診療録に記載することが求められます。
スタッフ間で対象外の事例を共有しておくことで、患者さんからの問い合わせにもスムーズに対応できるでしょう。
「特別の料金」の計算は「先発医薬品と後発医薬品の最高薬価の差額×所定割合」で算出します。なお、2026年5月まで差額の4分の1だったものが、2分の1に変わりました。
| 「特別の料金」=(先発品薬価 − 後発品最高薬価)× 1/2 × 消費税
<計算例> 例:先発品1錠100円・後発品最高薬価60円の場合 差額:100円 − 60円 = 40円 「特別の料金」:40円 × 1/2 = 20円 消費税込:20円 × 1.10 = 22円(1錠あたり) |
制度の知識を得たうえで、実際にクリニックは正しく運用する必要があります。以下の4つのステップを順番に整えることが、トラブル防止と患者さんからの信頼につながります。
| ステップ | 内容 | ポイント |
| ①自院の対象確認 | 関係する選定療養を絞り込む | 届け出が必要な項目をチェック |
| ②説明文の掲示の準備 | 患者さんへの説明内容を定型化 | 処方前の案内が必要 |
| ③会計・領収書の設定 | 保険診療と区分して処理 | 2026年6月の計算変更への対応を確認 |
| ④スタッフ教育 | 対応フローを文書化・統一 | 受付の説明ばらつきを防ぐ |
各ステップの詳細を以下で解説します。
最初のステップは「自院にどの選定療養が関係するか」を整理することです。
対象一覧の中から、自院の診療科・診療内容に関係する項目を絞り込みます。内科クリニックであれば「長期収載品」「予約診療」が主な対象です。
選定療養の中には地方厚生局への届け出が必要なものがあり、「予約診療」はその代表例です。届け出なしに費用を徴収した場合は不正請求にあたるリスクがあるため、必ず確認してください。
会計システムの設定やスタッフへの説明が終わってから運用を開始することが重要です。
選定療養を実施する際は、あらかじめ患者さんに内容と費用を説明し、同意を得ることが療担規則(第五条の四)により義務付けられています。
これは差額ベッドや長期収載品に限らず、選定療養全般に適用される要件です。説明なしの徴収は制度違反にあたるリスクがあります。
クリニックで説明するときや院内に掲示する際には以下の項目を盛り込みましょう。
同意の形式(書面か口頭か)は指定されていませんが、患者さんとのトラブルを防ぐためにも、説明内容と患者さんの反応を記録として残しておくことが重要なポイントです。
また、クリニックで処方し、薬局で調剤される流れの中で、「クリニックでは何も言われなかったのに薬局で急に費用がかかると言われた」という声もあるため、処方時の説明を丁寧に行うことが重要です。
「特別の料金」は保険診療とは、区分して処理する必要があります。
「特別の料金」部分は保険給付の対象外であるため、レセプトへの記載方法と会計システムでの区分設定を確認しましょう。
領収書には「選定療養費」として明記することが求められます。
選定療養のトラブルの多くは、受付スタッフの説明の場面で発生しがちです。
どの薬剤やサービスが対象か、対象外となるケースはどれか、金額はどう説明するかなどについてスタッフ間で統一しましょう。
「なぜジェネリックがあるのに費用がかかるのか」「先生に言えば無料になるのか」など実際の患者さんからの声に対する回答を定型化しておくと、現場での対応がスムーズになります。
受付が個別判断で対応する運用は混乱を招くため、対応フローを文書化し院内で共有しましょう。

クリニックの選定療養について制度運用上のリスクを把握しておくことが経営上の安定につながります。見落としやすい3つの注意点を整理します。
選定療養の「特別の料金」部分は保険給付の対象外です。この区分を誤ると返還請求や行政指導のリスクがあります。
保険診療部分は引き続き保険給付されますが、「特別の料金」はその上乗せ分として請求します。
選定療養として認められていない項目に「特別の料金」を請求した場合は不正請求とみなされるため、対象一覧と自院の請求内容を照合しましょう。
「いくら払うのか分からない」という状態のまま請求することが、トラブルの原因のひとつです。
処方前や会計前に「この薬を希望される場合、◯◯円の追加負担が発生します」と具体的な金額を伝えることが重要です。
「ジェネリックとの差額の半額をご負担いただきます」という説明を患者さんへの説明の定型文にすることで、スタッフ間の説明のばらつきを防ぐことができます。
選定療養は近年改正が続いており、対象品目・負担割合・対象範囲が変わり続けています。定期的な情報収集が不可欠です。
2024〜2026年の主な改正としては、2024年10月の長期収載品の選定療養新設、2026年6月の「特別の料金」引き上げや選定療養の予約診療でキャンセル料の徴収などがあります。
今後はOTC類似薬の選定療養適用など対象範囲のさらなる拡大も議論されており、改正健康保険法の動向にも注意が必要です。
選定療養の運用に関して、クリニックから多く寄せられる疑問をまとめました。実務上の判断に迷いやすいポイントを中心に解説します。
いいえ、すべての先発医薬品が対象となるわけではありません。以下の条件を満たす場合のみ対象となります。
後発医薬品が存在しない先発品、後発品の薬価が先発品を上回るケース、医学的理由があるなどの場合はいずれも対象外です。
2026年6月から、長期収載品の「特別の料金」の計算割合が「差額の4分の1」から「差額の2分の1」に引き上げられました。患者さんの負担は従来よりも増えます。
クリニックとしては、会計システムの計算設定の更新と、患者さんへの事前説明の見直しが必要です。
▼関連記事
選定療養の予約に基づく診察はキャンセル料請求が可能に|2026年制度改正の条件と対応方法
はい、選定療養は保険診療との併用が認められています。これが選定療養の特徴です。
通常の混合診療(保険外診療と保険診療の併用)は原則禁止ですが、選定療養は「保険外併用療養費制度」の一環として例外的に認められています。
患者さんとのトラブルを防ぐためには、クリニックで事前に説明することが望ましいでしょう。
長期収載品を希望した場合、薬局で初めて追加負担を知らされると「聞いていなかった」「クリニックからは何も言われていない」という不満につながることがあります。クリニックで事前説明を行い、薬局で最終確認を行う体制が理想的です。
ロキソニン(ロキソプロフェンナトリウム水和物)は、2026年6月時点では選定療養の対象品目に含まれていません。
ただし、対象品目は定期的に改定されるため、最新のリストで確認することが必要です。
選定療養は、患者さんの選択の幅を広げながら医療費の適正化を図る制度です。
2024年の長期収載品の選定療養の新設や、2026年6月の負担割合の引き上げなど、制度は変わります。
まずは自院が選定療養の対象となる項目を確認し、長期収載品への対応が必要かを整理しましょう。
そのうえで患者さんへの説明体制、会計設定、スタッフ教育を整えることが大切です。制度改正は今後も続くため、最新情報を確認しながら運用することが求められます。
参考:集患できるクリニックホームページ制作とは?成功事例から学ぶ7つの鉄則
<参考サイト>
後発医薬品のある先発医薬品(長期収載品)の選定療養について|厚生労働省
OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について|厚生労働省

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