【2024年医療広告ガイドライン】歯科の広告で注意するポイントは？

公開日：2024年10月29日 カテゴリー：ホームページ 医療広告ガイドライン

歯科医院のマーケティングにおいて大切になるのが広告運用ですが、この運用を行う際には、厚生労働省が制定する医療広告ガイドラインを遵守しなければいけません。守らない場合、改善の指摘だけでなく、罰金や開業許可の取消しが命じられるケースもありますので注意が必要です。

しかし、医療広告ガイドラインは遵守すべき要件が多く、また理解しにくい内容もあり、困ってしまうことも多いでしょう。ここでは歯科医院で広告を運用する際に注意すべき基本的なポイントを解説します。

参考：医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関する広告等に関する指針 （医療広告ガイドライン）│厚生労働省

医療広告ガイドラインとは？

医療広告ガイドラインについて、制定の背景や広告とみなされる範囲について説明します。

ガイドライン制定の背景

医療広告ガイドラインは、2018年に医療法をもとに制定された医療広告に関するルールです。医療サービスに関する虚偽や誇大広告が増大し、消費者トラブルが増加したことを背景に、法的拘束力を持ったルールが制定されました。

医療側が提供する情報をうのみにせず、患者が適切な医療を選択できるよう、保護を目的としたガイドラインです。

医療広告とみなされる範囲

医院が提供する全ての情報が広告とされるわけではありません。医療広告とみなされるのは、以下の誘引性と特定性が認められる場合のみです。

• 誘引性：記載内容を見た患者に「この病院を受診しよう」と思わせる可能性がある
• 特定性：医療提供者や病院が特定可能である

具体的な医療広告の規制対象となる範囲の例は、以下の通りです。

広告とみなされるもの	広告とみなされないもの
チラシ ポスター 新聞 インターネット広告	学術論文 新聞・雑誌の記事 患者の自発的な体験談 院内掲示 職員募集広告

歯科医院が広告で注意すべき3つのポイント【フローチャートで確認】

ガイドライン上で、「記載可能」か「記載できないか」の判断は、以下の3つのポイントが重要です。上記のフローチャートをもとに、記載できるかどうかを判断しましょう。

• 広告可能な事項かどうか
• 禁止事項に該当しないか
• 限定解除の要件を満たすか

詳細な条件については、3つのポイントに沿って説明します。

1.広告可能な事項かどうか

医療広告として記載できる内容の範囲が定められています。歯科医院の場合、以下のような項目が記載できる例として挙げられます。

【基本情報】

• 歯科医師であること
• 診療科名（歯科、小児歯科など法律で定められた名称）
• 医院の名称や電話番号、住所
• 院長の氏名や年齢、性別、略歴
• 歯科衛生士など医療従事者の氏名、年齢、性別、略歴、役職
• 専門医などの専門性資格の有無

【サービス関連】

• 診察日や診察時間、予約の有無、夜間診療の有無
• 平均待ち時間
• カルテの電子化
• 医療の安全や個人情報の取扱いに関する措置
• 紹介可能な他の病院名、紹介率

広告可能な事項に該当しない場合でも、後に説明する限定解除要件に該当する場合、記載しても問題ありません。

2.禁止事項に該当しないか

医療広告ガイドラインでは、患者に対して誤解を招くような治療効果や不十分な情報提供を規制するため、禁止事項を定めています。禁止事項に該当するのは以下の7つです。

• 虚偽広告
• 比較優良広告
• 誇大広告
• 体験談や口コミ
• 治療前後の写真（ビフォーアフター）
• 公序良俗に反する内容
• 品位を損ねる内容

虚偽広告

虚偽の内容を記載する広告です。例えば、痛みが多少生じるにもかかわらず「痛みゼロのインプラント治療」と記載するケースが該当します。

【具体例】

• 「絶対に成功するホワイトニング」
• 「副作用は一切ありません」
• 「治療後のお手入れが不要」

比較優良広告

他院と比較して自院の方が優れているという内容です。「日本一」「最高」など患者に誤解を与える表現が該当します。また、「芸能人の○○さんが推薦！」など著名人との関係を強調する表現も、比較優良広告とみなされます。

【具体例】

• 「○○件数最大の歯科医院」
• 「日本一の歯科技術を持つ医師が在籍」
• 自由診療の料金を他院と比較した表現

誇大広告

虚偽ではないものの、誇張した表現で患者に誤解を与えかねない広告です。非常勤医師を含めて「医師数○○名在籍」と記載することや、「インプラントセンター」など、公的機関と誤解させる表現が該当します。

【具体例】

• 自院の名称として「○○インプラントセンター」と記載
• 「最先端」「最適な」など自院が優れているという表現
• 「○○が原因で虫歯になる」など科学的根拠のない記載

体験談や口コミ

患者の感想や体験談、口コミも個人の主観による情報であることから、医療広告として使用できません。

【具体例】

• 患者からの直筆のアンケートを掲載する
• 他の口コミサイトから感想を転載する

治療前後の写真（ビフォーアフター）

治療効果に個人差があることを踏まえ、施術の前後写真の掲載は原則として認められていません。ただ、費用やリスク、副作用を明記した上での記載ができるケースもあります。

【具体例】

• リスクを極端に小さな文字で記載
• 重要な注意事項をリンク先に隠す

公序良俗に反する内容

過度に刺激的な写真や、特定の人を差別するような表現も禁止されています。

【具体例】

• 虫歯や歯周病の刺激的な写真
• 他院や特定の患者層への差別的な表現
• 不快感を与える治療写真

品位を損ねる内容

費用や割引を強調した表現など、医療とは本質的に関係のないもので患者を勧誘しようとする内容が該当します。例えば、キャンペーン価格や来院プレゼントをアピールするような表現です。

【具体例】

• 「期間限定キャンペーン！インプラント50%オフ」
• 「頑張ったお子さんに歯ブラシをプレゼント」

3.限定解除の要件に該当するか

医療広告の規制には限定解除要件があり、以下の4つの条件を満たせば、記載できる事項に含まれない場合でも掲載できます。

• (1)患者が自ら求めて入手する情報であること
• (2)患者が照会できる連絡先を明記
• (3)治療内容や費用を記載
• (4)リスクや副作用を記載

Webサイトの性質上、1と2は該当するため、3と4を満たすように費用やリスク、副作用の明記が必要です。

例えば、ホワイトニング治療の場合、「効果に個人差がある」「定期的なメンテナンスが必要」などリスクについて明記します。治療上のデメリットも含めて、患者が選択できるような表現を意識することが大切です。

医療広告ガイドラインに違反するとどうなる？

医療広告ガイドラインに違反した場合、どうなるのでしょうか。

指摘に対して速やかに対処すれば問題はない

多くのケースでは、厚生労働省から指摘が来ても、速やかに対処すれば問題はありません。厚生労働省はWebサイトの監視や一般からの情報提供により、ガイドライン違反を把握しています。指摘があった後、改善状況確認が1か月後に行われるので、速やかに対処しましょう。

修正されないときには罰則も

一方で、ガイドライン違反を指摘されて修正しなかった場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が課せられる可能性があります。刑事罰だけでなく、開設許可の取消しや閉鎖命令など、行政措置が行われるケースもあるため、速やかに対処しましょう。

ガイドラインを遵守しつつ集患をはかるWebサイト広告事例3つ

では、医療広告ガイドラインを遵守しながらも集患をはかるために、どのように広告を運用すればよいのでしょうか。3つのWebサイトでの事例を紹介します。

インプラント治療の効果を示したい

インプラント治療の効果を示すには、治療前後の写真を掲載すると、患者には視覚的に伝わりやすくなります。しかし、ビフォーアフター写真はガイドライン違反の可能性があります。

治療内容や期間、費用、リスクなど必要な情報を詳細に明記し、限定解除要件を満たせば、記載可能です。また、説明が一目でわかるよう、画像の直下に記載しましょう。

引用：医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 （第4版）│厚生労働省

院長やスタッフの専門性をアピールしたい

スタッフの専門性をアピールすることも、患者の信頼を高め、集患につながります。ただ、資格名を正しく記載しないと医療広告ガイドライン違反になる可能性があります。

例えば、専門医資格の記載は、厚生労働大臣が届出を受理したものに限り広告ができます。以下のように、「○○学会認定○○専門医」と団体名まで正確に記載しましょう。

引用：医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 （第4版）│厚生労働省

審美歯科など自由診療での集患をはかりたい

審美歯科やインプラント治療など、自由診療での集患を強化する場合、診療科の標ぼうには注意が必要です。歯科の診療科として、広告への記載が認められているのは以下の4つであり、審美歯科は含まれていません。

• 歯科
• 小児歯科
• 矯正歯科
• 歯科口腔外科

審美歯科と記載する場合は、以下のように審美歯科に関する説明を詳しく記載する必要があります。何を治療するのかを明記し、提供される医療の内容に誤解を与えないように注意しましょう。

引用：医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書 （第4版）│厚生労働省

ガイドラインを守りつつ集患を最大化する施策が求められる

医療広告ガイドラインは、広告運用を行う上では遵守すべきルールです。最も大切なのは、ルールにのっとった上で集患を最大化させる施策です。そのためには、限定解除の要件を正しく理解し、多くの患者に知られる医院を目指しましょう。

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